2度目の朝日岳・雪倉岳です。
大型台風7号が近づくというので日程を縮めて3日目に下山しました。
雲ひとつない晴天の日よりも、高曇りや薄いガスのかかった日の方が高山植物はかえって美しく見えるようです。
強い日差しを嫌がるアサギマダラにも沢山出会いましたし、高山の野鳥の囀りも賑やかでした。
もっともっとゆっくりして、花や蝶や野鳥などとも遊びながら、倍ぐらい時間をかけて登りたいのですが、初日の行程は標準でも10時間。急がなければならないのです。
2005.7.25 雪倉岳のアサギマダラ
この季節に2000mを越す高い山に登るとよくアサギマダラに出会います。
雪倉岳は北アルプス最北部にある朝日岳(2418m>に隣接する2610mのどっしりした山ですが、雪と高山植物が多いので有名な山です。
花を求めて山旅をするのは人間だけではないようで、雪倉岳頂上付近の砂礫の原で1時間に10頭ものアサギマダラに出会いました。
良く見ると、沢山の花の中からミヤマムラサキだけを選んで吸蜜しているではありませんか。
ムラサキ科の植物ではこの春にもオオルリソウやスナビキソウが話題になっておりました。
それらの花に寄るのはほとんどが♂と聞いていたのに、近寄って確認できた3頭はいずれも♀でした。
2005.7.24 五輪尾根のサンカヨウの青い実
この実が青くなると熟した証拠です。
食べるとほのかに酸味と甘みがあり、種は芽が出やすいところを選んで「ペッ」と吐き出します。
こうして植物たちは子孫を残すのだそうです。
2005.7.24 ヒオウギアヤメ
このあたりでアヤメと言えばヒオウギアヤメのことで、”アヤメ平”が2つもある。
朝日岳の北3kmの池塘と、蓮華温泉に近い平馬の平である。
目の醒めるような深く青い花が一面に咲く前者のアヤメ平は朝日小屋自慢の穴場だそうで、「来年は3連泊で来て下さい」と、小屋のおかみさんが自慢してました。
2005.7.24 ムシトリスミレ
登山道の路傍や岩陰、草原などに良く見られるが、これほどの群落は珍しい。
食虫植物で、葉から粘液を出して葉に止まった虫を消化してしまうのだそうである。
2005.7.24 ワタスゲ
ガスのかかった日にはワタスゲが美しい。
もっと大きく白く膨らみたくて、光に向かって手を振っているようだ。
2005.7.24 イブキジャコウソウ
「伊吹麝香草は木でござる。」と、かの有名な牧野富太郎が言ったそうである。
岩礫地に這いつくばって生えており、とても木とは思えない。
指先で揉むと麝香の香りがするが、香りが強すぎて馴染めない人もあるようだ。
2005.7.24 シロウマアサツキ
白馬岳の近くに多いネギの仲間でこの名がついたとあるが、そういえば大雪渓の上部に葱平という地名があるのを思い出した。
強風に遭うとポキンと折れてしまいそうであるが、見た目よりは丈夫に出来ているらしく、毅然と立っている。
2005.7.24 タカネナデシコ
カワラナデシコの高山型だそうである。風当たりの激しい尾根に生えており、風に揉まれて哀れな姿になってしまった。
2005.7.24 シモツケソウ
なんという艶やかさでしょう。登りにはここしか咲いていなかったのに、2日後の下山時には辺り一面この鮮やかなピンクに占められておりました。
この近くでは、伊吹山に大きな群落があったと思いますが、こんな風に鮮やかな色をしていたでしょうか。
2005.7.24 コバイケイソウ
霧が晴れると草原の向こうから両手を挙げて「オーイ」と呼びかけてくるようです。
雪が消えた後に次々と芽を伸ばして花を咲かせますが、その新鮮さがいいのです。
花が少ない年もありますが、今年は一番の当たり年のようで、その賑やかなこと。
2005.7.24 アカモノ
この清楚な感じが私は好きです。ツツジ科の小低木で、間もなく食べられる赤い実をつけるそうですが、雪の多い7月中に旅をする私は、見た覚えがありません。
同じ理由でまだ食べていないベニバナイチゴの稔る、8月半ばごろの山歩きもいいかなと思っております。
2005.7.24 カラマツソウ
涼しげな姿ではありませんか。
良く似た姿のモミジカラマツやミヤマカラマツも混生しているので悩んでしまいます。
2005.7.24 シナノキンバイ
ふくよかで大きくて黄色くて、なんとなく雪国の山にふさわしい花ではありませんか。
大きさではニッコウキスゲに負けますが、黄色のみずみずしさと鮮やかさではこの花が一番です。
2005.7.24 ミネウスユキソウ
私の青年時代はヨーロッパアルプスに咲くというエーデルワイスに憧れたものでした。
ミネウスユキソウはエーデルワイスの仲間。姿は一番似ているのではないでしょうか。
2005.7.24 白馬岳遠望
3日間合計しても白馬本峰が見えたのは秒単位でした。
左から白馬本峰、次の尖った山は旭岳、そして右端が清水岳です。
白馬と朝日は花が多いので女性に人気があり、女性の方が多いように思われました。話し相手が欲しいのか、3日間別の女性が同行してくれました。
2005.7.24 ハクサンコザクラ
あちらにもこちらにも沢山群落がありますが、こんな深い鮮やかな花はそう多くはありません。
良く似た種類にユキワリソウとオオサクラソウがあります。
2005.7.24 エンレイソウ
前からこの熟した実を食べてみたいと思っていました。サンカヨウよりも酸味が強くいくらか甘みも感じられました。
同じ仲間で北海道にはオオバナノエンレイソウがあります。はるかに大型で実も大きく甘いのだそうです。私が愛読した更科源蔵さんの「続々北海道の絵本」に「アメフリバナ」として紹介されております。
漢字では「延齢草」ですが、そのような薬効もあるのでしょうか。
2005.7.24 イワカガミ
ピンクのフリルをつけて可愛らしい花ですね。
今でも高山に咲くものをコイワカガミとして別種にしている図鑑もありますが、2泊した朝日小屋で買い求めた高山植物ポケット図鑑(新潮文庫・増村征夫)にはその名はありませんでした。
2005.7.24 ショウジョウバカマ
京都西山では3月下旬には咲く春告花ですが、ここでは雪が消えた後に次々と花を咲かせます。
霧に濡れて寒そうですね。
2005.7.24 キヌガサソウ
林床谷間に多く見られるが、ほとんどは盛りを過ぎており、花の色が淡紅色や淡緑色に変わってしまっており、これだけ新鮮な群落はここだけだった。
花びらも葉も8枚から10枚もあり、本当は何枚なのだろうと考えてしまった。
2005.7.25 チシマギキョウ
この青さもすごいですね。高山帯の岩の隙間や礫地に咲いていて、何時も風に揺れています。
良く似た種類にイワギキョウがあり、いつもどちらだったかなと迷ってしまいます。
2005.7.25 コマクサ
意外に少なかったのがコマクサです。雪倉と朝日の鞍部に一箇所、数株見つけました。よほど生育条件が複雑なのでしょう。
中国や韓国などの女官の頭飾りに似たものがあったように思います。
2005.7.25 タカネヒカゲ
図鑑の写真とあまりにも違うので文章も読んでみたが、高山蝶のタカネヒカゲに間違いないようだ。
このあたりに棲むものは地色が濃いのだそうで、岩礫とほとんど見分けがつかない保護色をしている。
幼虫で2回も冬を越して3年目に成虫になるそうで、厳しい極地的自然の中で生活する生命の不思議さが感じられた。