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  鹿除け平帳りネットの作り方 (2011)



鹿除け平帳りネットの作り方 (2011) 


野生の鹿の大群(2011.8.26)

早朝に山上に着いた登山者によると、70頭の群れを見たことがある言います。 私は数日前に20頭ほどの群れを見ておりましたが、この日は33頭がこの写真に 写っています。



鹿除け平張ネット 1

鹿除け平張ネットを張り終えたところです。傾斜は10度あまりでしょうか、平坦で 起伏も少ないので作業がはかどります。外側には森が迫っており、朝夕には木陰も 出来て、晴天の日でもアサギマダラが姿を見せます。チャンピオン・スキーコース の両側に2m×30mのネットを4セット(120m)連続して帳りました。
鹿は夜行性の草食動物で、非常に神経質で害敵が現れた場合の逃げ道が確保出来る 環境でのみ餌を食べます。危険を感じた場合は森に逃げ込みますが、両脇ネットでは危険を 感じるらしいです。
スキーコースには芝生の種を蒔いて養生されております。鹿が芝生の新芽を好むのは 奈良公園でも知られており、また、芝生は鹿に食われても益々元気に新芽を出します。 びわ湖バレイでは以前は草を芝刈り機で刈っておりました。今は鹿が刈ってくれるので 芝刈りは必要なくなりました。

鹿除け平張ネットの架設の仕方はPDFファイルで ここ にあります。ご参照ください。


鹿除け平張ネット 2

その結果保全されたヨツバヒヨドリ群落です。ヨツバヒヨドリはネットの外でも食われずに 残っているものもあります。

しかし、他の3か所では完全に食われて効果は無くなりました。それぞれ単独で架設した ものでしたが、それでも一年目にはそこそこ効果が見られたものもありました。しかし、 2年目には不快ではあるが危険は無いと学習したものと思われます。まして3年目には全く 気にしなくなり、完璧に食われてしまった場所もありました。鹿は猿ほどではないにしても、 ちゃんと 学習するもののようです。多分母親が小鹿に『大丈夫だから食べておいで』と言って食わせた のではないかと思っています。高さ60cmのネットは小鹿には気にならない高さですが、母親や 角のある♂鹿には指の間に挟まったり、角に絡んだりで嫌な存在なのでしょう。

鹿などの蹄が二つに分かれているいわゆる偶蹄類は、指の間にものが挟まるのを極度に嫌がる 習性があるとは、京都で古くから魚網を商う古老に教えてもらいました。

去年効果があったから今年も効果が期待できるとは限りません。鹿も学習するのなら 私達人間も勉強して新しい手を考えなければなりません。


鹿除け平張ネット 3

画面の中央下辺に金銀のリボンが見えるでしょう。ネットの外に大きな株が芽を出したので とりあえずリボンで囲ってみました。結果的には食われずに大きなヨツバヒヨドリの株に 育って花を咲かせました。

とりあえず変わったことがあると鹿は警戒するようです。そのうちに無害なものは気にしなくなり、 効果が無くなるようなのです。

超音波を使うのと、農林業で既に使われている忌避物質も面白いと思われますが、せっかくの アサギマダラまで来なくなる可能性もあります。

中には野犬を放してみたらという提案もありますが、これは非常に効果があります。

10年ぐらい 前までびわ湖バレイには7匹の野犬がおりました。おとなしい野犬で人に害を与えたことは一度も 無かったのですが、行政の手で全部駆除されてしまいました。びわ湖バレイに鹿が増えたのは その頃からです。




生き物と心を通わせる 1

台湾でアサギマダラのマーキングを始められた李 信徳さんです。数年前びわ湖バレイに連泊 していただいたことがありましたが、蓬莱山の山頂で『トンボと遊びましょうか』と言って 人差し指を頭上に伸ばしたら、次々にトンボがやってきて指に止まるのです。一緒に来ておられた 写真家の?さんや私の指にはなかなか止まってくれません。なぜでしょう。

多分トンボにもアサギマダラにも心があって、心を通わせることが出来たらアサギマダラも 安心してネットに入ってくれるのだろうと思っています。

私はあらゆる生き物と心通わせる友達になれたらいいなと思います。その思いが声になって 『ちょっとごめんね』と網を振り『ちょっと写真撮らせてね』と手でつかまえたり『だいじょう ぶだよ』と野鳥に近づいて録音を録らせてもらうなど、絶対にコソコソしないことにして おります。

ある初夏の真夜中に灯火なしで笹原を歩いているときにクマと数メートルの至近距離で 出会いました。熊は当然『うう』と怒りましたが、私は録音機のスイッチを入れてもう一度 唸ってくれるのを待っておりました。不思議に恐怖心も起こらなかったし、動悸が早まることも ありませんでした。動物とはこんな関係が良いと思うようになりました。

アサギマダラとも心を通わせて遊べたら楽しいとは思いませんか。そのために守るべき 最低のマナーは驚かせたり人間の嫌な匂いを嗅がせたりしないことです。風上からは 近づかない、声をかけて近づくなどですが、声にはものすごく多くの情報が入っています。 それに、やさしい声をかけられる人は心まで優しくなれます。





生き物と心通わせる 2

この日はスキーコースの下から風が吹き上げておりました。私はスキーコースの草原を足元を見ながら 蓬莱山の山頂から下っておりました。スキーコースには100円硬貨が良く落ちているのです。 仲間は500円硬貨を拾って自慢しておりました。つまり鹿がいるかもしれないなどと言う雑念や 欲は全くない状態で歩いていたのでした。

鹿から20mぐらいの距離で私が気が付いて足を止めました。鹿はこちらを向いて『あんな ところに樹が生えていたかな』と思ったようでしたが、また草を食べ始めました。こういうのを 鳥の仲間は『樹化け』と呼んでおります。その間に私は片手でカメラを取り出し、望遠にセット して何枚か写真を撮りました。カメラは胸のポケットに入り、片手で確保してセット出来る ように工夫してあるのです。

一頭は角が伸びきって四本角が誇らしげに艶々と光っておりました。もう一頭の方は まだ袋角で毛が生えて柔らかそうでした。これだけの近距離で野生の鹿をゆっくりと鑑賞 出来たのは私としても初めてで、満ち足りた気分になるのでした。


生き物と心通わせる 3

私は一年中生き物と遊んでいます。農業の手伝いで草刈りする時も、森や果樹園で樹を切る 時も皮かゴムの手袋をしていて、写真になりそうな生き物がいると、『ちょっと写真撮らせてね』 と言ってためらわずにひょいとつかまえます。これらの動物たちの表情を見て下さい。恐怖が 見てとれますか? 怒っていますか? 私には友情ある表情に見えます。ニホントカゲなどは もう五月だというのに冬眠から目を覚ましてくれませんでした。



   山川草木悉皆成仏・森からも声をかけられる

私はその時福井県の県境の尾根から滋賀県側へと、カシノナガキクイムシによるなら枯れ状態を見て 歩いているうちに、険しい谷に迷い込み、遭難寸前でようやく林道跡を見つけて平地に辿り着き、 やれやれと思ったところでした。

すると何処からともなく『その子を頼みましたよ』という声が聞こえてきました。見まわたすと 風もないのに横の樹の葉がさやさやと揺れておりました。足元を見ると『その子』がいました。 カモシカの死体です。その姿から、谷川から這い上がってきて命が尽きたこと、私がその日、 ここを通ることを知っていて、その樹がささやいてくれたことが分かりました。

調べてみてすぐに分かったことは、@死後間もないこと(数百のダニが盛んに逃げ出している 最中でした。つまり、まだ体温が残っていたのです) A13歳前後の♀であること。(角のリング で大体の年齢が分かります) B最近まで元気で生活していて子供があり、急病で亡くなったこと。 (乳首の周りの毛は擦り切れておりましたし、ブルブルッと一振るいするだけでふわっと元に 戻る体毛は発水性を失い、濡れたままで半分以下に小さく見えました。多分体調が 悪く、誤って崖から落ちたのが直接原因になったのだと思いますが、怪我はありませんでした)

さて、どうしようと思案しましたが、これだけのダニでは抱いて帰るわけにはまいりません。 本当は連れて帰って、許可をもらって標本にしたかったのですが、場所が場所だけに滋賀県の 教育委員会(文化財保護課)に引き継いで処理をお願いすることにしました。私は文化財保護課には 大変お世話になったことがあり、行政協力(恩返し)の気持ちもあったのです。








びわ湖バレイがアサギマダラの楽園だった頃

アサギマダラが十数頭ずつ写っています。そのころのびわ湖バレイのスキーコースは 一面にヨツバヒヨドリの群落に覆われており、アサギマダラの大群が平和に暮らしておりました。 つまり、アサギマダラの楽園だったのです。

ある日、呼び出されて網を振りながらヨツバヒヨドリの斜面を下るうちに、網は重くて振れなく なりました。後でマーキングしたら80頭余り入っておりました。



『アサギマダラの森』計画

この場所は『アサギマダラの森』と命名されました。ロープウェイ山頂駅のすぐ近くの森です。 アサギマダラの楽園を復活させようと、その全域を頑丈な金網等のフェンスで囲い、鹿を完全に シャットアウトしてヨツバヒヨドリの群落を復活させようとしたのです。

しかし、実現はしませんでした。膨大な予算と、その営業上の効果が釣り合うとは思われなかった のではないかと考えています。

この森には大きなズミの樹があり、その他の樹木はほとんどがオオイタヤメイゲツで人ごみからも 離れて落ち着いた雰囲気です。カップルや家族ずれが一日緑の風に吹かれて過ごすために訪れ、 ハンモックに寝転んで本を読む人、昼寝をする人など、くつろいだ時間が過ごせる場所です。

昨年の夏、カタツムリの専門家がここを通りがかり、声をかけて一緒に昼食をとることになり ました。よく山地を歩きまわっているということなので、ぜひアサギマダラにも関心を持って見て いただきたいとお願いしておりましたところ、その方が笹の斜面を指差して『アサギマダラが 沢山止まっている』と教えてくれたのです。

なるほど笹の急な斜面の中のヨツバヒヨドリ一株に数頭止まっているのが見えました。この方に 調査協力者になってもらうためには、ヨツバヒヨドリを傷つけずに全頭捕獲したいところです。

私は風下に廻り、『こんにちわ』とか『ちょっと頼むよ』などと声をかけながら近づくのですが、 なにしろ足元が悪く、その上笹の背が高いので、かき分けて進むことになり、とても静かにとは 言い難い状態でした。しかし、不思議なことに一頭も飛び立たず網が届くところに辿り着きました。 『ちょっとごめんね』と声をかけて、一頭一頭丁寧に7回網を振って全頭捕獲することが出来ました。 もちろんヨツバヒヨドリは全然傷つけておりません。至福のひと時、会心のひと時となりました。


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ヨツバヒヨドリなどの群落を鹿から護り、アサギマダラを呼ぶためにお役に立てたらと思います。