この夏、草も木も例年よりは多くの実をつけているのに気が付かれた方が多いのではないかと思います。
昨年(2004年)は、度重なる台風の襲来で花も実も引きちぎられて、山の生き物たちは餌のない秋を迎えました。
動物たちの中には冬が越せなくって飢え死にした者も沢山あったと思われ、中でも大型動物の熊さんたちは、危険を冒してまで人里に下りてきてトラブルに巻き込まれ、2004年10月末の報道(10月31日付朝日)では、1754頭も駆除されたとのことでした。
実が稔らないというのは、植物たちにとっても危機的な状態でありますから、今年はそれを挽回するためにしっかりと実をつけているのかと思いますが、とにかく心まで豊かになる秋です。
2005.7.24 ブナ 1 蓮華温泉
山で一番気になるのはブナの実のつき具合ですが、今年は凄いです。初夏の大江山ではよく実が付いているなと思っていたのですが、夏山(朝日・雪倉)では6〜7割のブナに実が付いておりました。比良山系はそれほどでもありませんが、氷ノ山・扇ノ山では驚きました。8割がたのブナに実がびっしりとついているのです。
2005.8.27 ブナ 2 扇ノ山
扇ノ山の舗装された林道には、若い実や殻斗が落ちておりました。出会った山の人は「ブナの実は美味いで・・・」と、熟するのを楽しみにしているようでした。熊の場合はそうそう容易く生息数が回復するとは思えませんが、リスやネズミなどの小動物たちにとっては、子孫が増えるほどの恵まれた秋になるのではないでしょうか。
1998年ごろ ブナ 3 大江山
乾燥させて保存しておいたものですが、中の実は健在でした。多分発芽するものと思います。
2005.7.24 サンカヨウ 朝日岳・五輪尾根
登山の途中で追いついてきたスキーの好きなお嬢さんに試食してもらったら、「美味しい!」と感激していました。野のもの、山のものなどを自分で採って食べたことがないのだそうです。「種子は芽が出そうなところにペッと吐き出してね!」とお願いしましたが、気をつけてみるとずいぶん沢山実がついておりました。
2005.7.24 エンレイソウ 朝日岳・五輪尾根
エンレイソウも沢山実をつけておりました。そのお嬢さんは「こちらの方が美味い・・・」と次々と食べておりましたが、「ある種の酸は胃腸障害を引き起こすから・・・」と、たしなめておきました。
2005.8.29 シオデ 1 自宅の庭
「シオデは、東北地方の代表的山菜で、秋田、山形方面ではとくに珍重され、最高級山菜として店頭で売られている。」と、古い山菜の本に書いてあります。山形出身の両親から何度も「シオデはないのか・・・」と聞かれました。たまたま信州木曾、薮原の農家が栽培実験をやっているのを知り、私も庭に種を蒔いてみました。
シオデは乾燥に弱いとのことなので水を欠かさず大事に育てておりますが、あれから10余年経つのに株が増えません。何時になったら食べられるのでしょう。
2004.10.-- シオデ 2 自宅の庭
シオデの実は熟するとヤマブドウのように黒くなり、中からアズキ色をした種子が採取されます。「雑草の中によく育つ・・・」と記載があったので、知人の畑の土手に播種して3年間観察しましたが、育ちませんでした。
2005.7.24 ハイマツ 朝日岳
今年はハイマツにも若い松毬が沢山ついているように思われました。高山鳥のホシガラスをはじめ、沢山の動物の餌になっているはずです。
2005.6.26 ヤマモモ 京都市西京区
公園の山桃の樹に珍しくビッシリと実が熟しました。昔だったら子供たちが放っておかないのに、誰も食べてくれません。勿体無いので採りに行こうとしたら、「見っともないから止めて・・・」と家内に言われました。その後どうなったのか、気になっています。
2005.9.6 クロガネモチ 京都市西京区
病院のロータリーに聳える高さ15mにもなる立派な樹ですが、プレートには「黐の木」とあります。園芸では「黒鉄黐」とはあまり区別されていないのでしょうか。冬になると真っ赤に熟し、ツグミ、シロハラ、ヒヨドリ、メジロなど、春先にはレンジャクたちもやってきます。
2005.9.6 カキ 京都市西京区
甘がきでしょうか渋がきでしょうか、道端のこの柿は熟しても誰も見向いてくれません。鈴なりに熟した柿には冬中小鳥が大勢やってきて盛大に宴会をやっています。可愛いのはメジロの群れ、そのほかツグミ、シロハラ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメなどですが、時々カラスがやってきて皆を追い払います。
2005.9.6 ナンテン 京都市西京区
美味しい順番で数えるとだいぶ下位になるようで、赤くなっても春先まで残っている木を多く見かけます。しかし、ピラカンサなどの美味しい実がなくなると、ある日突然みな食われてしまいます。犯人はヒヨドリだと思われております。
2005.9.8 風の落し物 芦生
昨日台風14号が日本海沖を通過し、吹き返しの強い風が吹きました。私は早速「風の落し物」探しに芦生に出かけました。
物欲しそうに森を歩いたのは私だけではなかったようです。スモモの樹の下は、動物の足跡だらけで、甘酸っぱい完熟スモモはほとんど残っておりませんでした。
サルナシも同様です。
それでは写真の説明をいたしましょう。上段左から、ミズナラのドングリの虫えい、トチの実、ミズナラのドングリ、
2段目は、クヌギのドングリ、ハクウンボク、イヌブナの実、ブナの実、3段目は、サワフタギ、アシウスギ、そしてクリのいがです。
2005.9.9 ミズナラ-1 芦生
木の実・草の実のページは、ブナに始まってミズナラで終わりです。昨日に続いて今日も芦生を散策して、ようやくドングリが沢山なっているミズナラの写真が撮れました。
なかなか目の高さに被写体が無いのです。
山の大型動物たちにとっては、ブナの実とミズナラのドングリは欠かせない秋の食糧なのです。
ご覧のように沢山実をつけていますが、芦生のミズナラは7〜8割がた枯れてしまいました。大変なことです。(次の写真をご覧ください。)
2005.9.9 ミズナラ-2 芦生
ナラ枯れ病については、芦生の森をご覧ください。去年よりも激しくナラ枯れ病が進行しており、ミズナラの樹が少なくなってしまいました。
犯人のカシノナガキクイムシは、根まで食い尽くすので、根から腐りが入り、次々と倒れてしまい、芦生の森が明るくなってしまいました。
林床は鹿の食害などで丸裸です。これでも豊かな生態系は維持できるのでしょうか。