トップページ

・・・風とアサギマダラの生活・わが人生最後の締めくくりとしてのアサギマダラ観察施設

開聞岳

私は間もなく87歳を迎える。アサギマダラのマーキング調査に参加したのが1996年だから、今年で26年目になるわけであるが、その間、多くのレポートや論文を発表してきたが、 評価されているようには思えない。その理由は、多分風が人の目には見えないことにあるのではないかと思われる。
しかし、アサギマダラは確実に風によって生かされているとの思いは変わらない。そこで、この春から計画を練り、地権者や友人の協力のもとに『風とアサギマダラの研究施設』の設営作業を進めてきた。 場所は京都西山の中腹にあり、道路も水利も非常に悪いところであるが、南向きの斜面で陽当たりには恵まれ、眺望もよく、爽やかな風が吹き抜けてゆく。

その場所は、京都市西京区大枝西長町の九社神社裏にあり、宮司を兼務する大原野神社の齋藤宮司様のお世話になった。披露してお礼を申し上げる。また、九社神社の氏子の皆さまや、 休耕柿畑の地権者様も快くご協力いただいており、感謝に耐えない。

このあたり一帯は富有柿の生産地で、京都縦貫道(400mほど東を南北に走る)および沓掛インターが出来るまでは見渡す限りの広大な柿畑が続いていた所である。 2000年頃からシカやイノシシ、サルまでが増え始め、山際に長大な防獣フェンスが設営されたが、この場所はフェンスの山側、すなわちケモノの世界に取り残されて、休耕柿畑となった経緯がある。 ケモノの気配が非常に濃厚な場所であり、南側を流れる谷のすぐ上流の砂防ダムは、その上の孟宗竹林のタケノコを掘るイノシシが穴だらけにして土を落としたので、その土で埋まってしまった。 休耕柿畑は釣り竿に使えそうな小径竹が一面に生えているが、不思議なことに若い竹は一切生えていないのである。タケノコの間にシカやイノシシが食っているらしい。 また、梅の巨木が2本あり、7月時分まで大きな完熟した梅が金色に輝いていたが、樹下には一個の梅も落ちていないのである。誰かが食っているらしい。

こんな世界を切り拓いて開墾し、フジバカマを植えようとしているのだから、地元からは憐れむ視線さえ感じられた。

私たちBVアサギマダラの会は、びわ湖バレイのスキーコースでヨツバヒヨドリの群落を保護してきた実績がある。設置するのも回収するのも少人数で簡単に出来る『鹿よけ平帳りネット』であるが、 ここでもその知恵を生かし、食われずに最終剪定を終わった。後は水遣りと、草むしり、肥料やり、病気や害虫から見守って、秋のアサギマダラの南下シーズンを待つだけだ。
水尾のようにアサギマダラがワッと押し寄せる夢を見ている。

水尾に乱舞するアサギマダラのニュースは瞬時に全国に広まり、京都市内でも100グループ以上のフジバカマ畑が作られたし、関東以西の各府県にも大規模なフジバカマ畑が作られた。

『アサギマダラを呼ぶならフジバカマ畑は山腹に作るのが良い』というのは、常識の時代が来るのを夢見ているのである。


@風とアサギマダラの生活1(pdf) 風とアサギマダラの生活の原点

A風とアサギマダラの生活2(pdf) アサギマダラが風と共に生きていることの証明実験施設

B風とアサギマダラの生活3(pdf) 目に見えない斜面上昇風の存在

C風とアサギマダラの生活4(pdf) アサギマダラの南下時期とフジバカマの開花

D風とアサギマダラの生活5(pdf) 藤袴を一か月間咲き続けさせる計画

E風とアサギマダラの生活6(pdf) 京都西山・大枝のアサギマダラ2021

F京都西山・大枝のアサギマダラ2022・@(pdf) 北上期のアサギマダラ第一号がやって来た。2022.5.8

G京都西山・大枝のアサギマダラ2022・A(pdf) 京都西山・大枝のアサギマダラ 2022年秋1。2022.12.3

H京都西山・大枝のアサギマダラ2022・B(pdf) 京都西山・大枝のアサギマダラ 2022年秋2。2022.12.3

I京都西山・大枝のアサギマダラ2023・C 2023/8/1(pdf) 京都西山・大枝フジバカマ 2023年春。2023.8.1

J京都西山・大枝のアサギマダラ2023・D10:22 2023/12/15(pdf) 京都西山・大枝フジバカマ 2023年秋。2023.12.15