久しぶりに長老ケ岳を散策した。917mの頂上の直ぐ下には電波塔があり、アスファルトで舗装した林道が頂上直下まで続いている。800mぐらいから上にはブナが混じる森が残っていて、2001年までは多数のアサギマダラが観察された。比良山系からの飛来も確認されており、アサギマダラの夏の間の生活を知る上で面白いポイントであると思っていたが、2001年を最後にアサギマダラは見られなくなった。鹿の食害により植生が変わったのが一番の原因と思われた。アサギマダラを誘引していたヨツバヒヨドリが道路わきから姿を消したのである。
土木工事の後、植えられた芝草は食われても食われても新しい芽を出して絶えることはないが、そのほかで今も残っている草木は鹿が食わないものだけなのである。
2009.08.23 長老ケ岳にはアサギマダラの食草であるイケマの大きな群落がある。これまでに、この群落でアサギマダラの卵、または幼虫を見つけたことは一度も無かった。今日がはじめての記録であるが、時間をかけて調べたが他には痕跡は見つからなかった。
1998年 再捕獲 5
1999年 標識数 3 再捕獲 0
2000年 標識数 13 再捕獲 8
2001年 標識数 120 再捕獲 0
2002年 ヨツバヒヨドリが姿を消し、アサギマダラも見られなくなった。
2009.08.23 イケマの開花している株は少ない。アサギマダラはこの花を訪れることがある。イケマは標高700mの辺りから800mへかけての人工林の林床や、路肩一面に広がっているが、なぜかアサギマダラには利用されてこなかった。
2009.08.23 ダンドボロギクは食われない。山菜として人気のあるワラビなどのシダ類も、新芽の時に稀に食べられることはあるが、すぐに硬い葉に成長して身を護る。オオバアサガラも美味そうに見えるが何故か食われない。4番目の草本はあまり見かけない種だがこれも美味そうだ。食われた後はまるで芝刈り機で手入れされたようにきれいで、毎年2〜3回道草刈りをやっていた市町村では、手間も予算も要らなくなつたことだろう。
2009.08.23 森に蜜源が無いわけではない。カラスザンショウ、タラノキ、リョウブなどがあちこちに花を咲かせ、間もなくコシアブラも開花するはずである。
2009.08.23 ヤマモミジとキリの樹皮が食われているのをはじめて見た。樹皮は春から新緑の頃にかけて、まるでバナナの皮を剥くように簡単に剥げる時期がある。樹種によってはすぐに枯れるものもあるが、リョウブなどは命に別状は無いようだ。
2009.08.23 赤土の崖に生えていた笹は食われずに最後まで残っていたが、雪解けのある日、それも食われて林床から笹が消えた。ブナの森で生活していた生き物たちは何処へ行ったのだろう。命の気配が感じられなくなったブナの森には魅力が無いらしく、アサギマダラもやって来ないのだろう。
山川草木すべてが一年一年変ってゆく。アサギマダラよ、何処へ行く。