びわ湖バレイは比良山系の打見山・蓬莱山を中心とした1000m前後の高原にあり、 冬季は都市近郊のスキー場として人気があります。1965年にスキー場として開発され るまでは全山深い笹原とブナの森に覆われていました。スキーコースやキャンプ場、 ホテルなどの施設が造られ、生態系は変化を余儀なくされましたが、40年以上経った 今はスキーコースは草原として維持されることにより新しい生き物たちが定着するよ うになりました。その筆頭がアサギマダラで、氾濫原または人工で維持される草原に 群落をつくるヨツバヒヨドリに誘引されてこの高原にやってまいります。上の写真は ヨツバヒヨドリが鹿に食われた食痕に集まるアサギマダラ(6月6日)@です。
2010.09.19 上高地 ⇒ びわ湖バレイ
上高地からはるばるやって来たアサギマダラを再捕獲しました。
標識:NAGANO 上高地 10 JPN (青い色)
性別と鮮度:♂ 新鮮
再捕獲日:2010.09.19
再捕獲場所:滋賀県大津市木戸1547-1 びわ湖バレイ
再捕獲者:金田 忍
備考:びわ湖バレイで長野県からは今期2頭目です。
2010.6.6
ヨツバヒヨドリの食痕に集まるアサギマダラ(6月6日)A
びわ湖バレイの山麓では五月初旬にアサギマダラの来訪と産卵が確認されました。[asagi:015779] TTさん
この日は3ケ所の食痕に合計14頭が吸汁しており、数頭が付近を飛び回っておりました。
2010.6.6
ヨツバヒヨドリの食痕に集まるアサギマダラ(6月6日)B
ヨツバヒヨドリは束生します。根元から鹿に食われた食痕からは液汁が出ており、アサギマダラが摂取すると体内でフェロモンに変化するPAと呼ばれるアルカロイドに誘引されてアサギマダラが集まってくるらしいのです。
PAはフジバカマなどその他多数の植物体や花蜜に含まれていると考えられており、アサギマダラが誘引されるのが確認されております。
2010.5.21
フジバカマの干草に集まるアサギマダラ
フジバカマは香り草としても知られ、十二単の懐に忍ばせて用いられたと伝えられております。桜餅に似た匂いがあり、主成分はクマリンと聞きましたがPAとは別物だそうです。
2010.6.4
ズミの花で吸蜜するアサギマダラ
びわ湖バレイの従業員Nさんから、ズミの花で吸蜜していたという話を聞いて3年目でようやく写真が撮れました。高いところに止まるのでポケットサイズのコンパクトカメラではこれぐらいが限度です。
2010.5.21
アサギマダラの卵
びわ湖バレイの山麓や山上ではアサギマダラが北上してきた5月から6月にかけて、
食草のイケマを中心に産卵が見られます。山上では一箇所に数十卵確認されていますが、
ほとんどが卵の間に消滅し、孵化して成長したものはここ数年観察されておりません。
ただ単に気温が上がったからという単純な問題ではなく、卵を捕食する動物や寄生虫が
増えたという背景があるようです。
2010.6.7
アサギマダラの飼育
山上よりも気温の高い自宅でアサギマダラの飼育実験をしています。
持ち帰った9卵のうち8卵が孵化し3齢幼虫に育ちました。どうも寄りたがる習性があるようで、
一枚の葉裏に6匹が集まっています。集合することのメリットはあるのでしょうか。飼育日誌
はPDFファイルにして ここ にあります。
2010.6.4
満開のズミの巨木
ズミのこれだけの巨木はあまり知られていません。相当な老木らしく東側の大枝が折れて地についています。
毎年アサギマダラがやってくるのを楽しみに見てきましたが、今年ようやく観察することが出来ました。花があればアサギマダラが来るというものではなくて、何か微妙な条件があるようです。
2010.7.31
トカゲの仲間、カナヘビ
さすがは爬虫類、アップにすると凄みのあるマスクであるがいたって温和しく、捕まえても噛みついたりはしない。
2010.9.13
アサギマダラにはピンクがよく似合う
びわ湖バレイの山上ホテルの庭には色々な花が咲き誇り、沢山の昆虫が訪れる。中でも華麗なのはアサギマダラで、ピンクのダリアが良く似合う。
(びわ湖バレイ従業員・上坂さん撮影)
2010.9.12
長野県からやって来たアサギマダラ
9月10日に藤野さんが再捕獲したTOR326サクラ7/17がまだいた。そのご山奥くんが再々々捕獲し、14日には吉本さんが再々々々捕獲することになるのだが、ここを終の棲家と決めたようである。
2010.9.12
テンニンソウのアサギマダラ
9月の中旬だというのに猛暑は一向に衰えを見せず、とうとうテンニンソウが全域で咲いてしまった。数年前のある年、まだ鹿がヨツバヒヨドリを食わなかった頃であるが、ヨツバヒヨドリの花が終わり、テンニンソウが数平方メートルだけ開花した秋があった。そこにアサギマダラが蜜集して一枚の写真に40頭余り写っている写真が残っている。
2010.9.12
びわ湖バレイ山麓のナラ枯れ病
4年前にびわ湖バレイに蔓延したナラ枯れ病は、尾根の北側の荒川・大谷あたりの森に一気に広がった。コナラ、ミズナラ、ナラガシワ、クヌギなどの80%以上の樹が被害を受けているが、枯死するのは樹木だけではなく、依存して生きていた多くの生き物が影響を受けることだろう。
2010.9.12
テンニンソウとミヤマカラスアゲハ
ミヤマカラスアゲハは美しいが妖しい蝶である。テンニンソウがよほど気に入ったものと思われ、一望の視野に十数頭も蜜を吸っている姿が見られた。よく見ると他にもカラスアゲハ、ミドリヒョウモン、ウラギンヒョウモン、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、キアゲハ、ヒメアカタテハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、イチモンジセセリなどの蝶、ハチやハナアブの仲間、それらの小さな虫を食うトンボなどの生き物が満ち溢れている楽園だった。
2010.9.12
モリアオガエル
テンニンソウの中に取り残されたスキー場のポールにモリアオガエルが止まっていた。ポールのオレンジ色とモリアオガエルの明るいミドリが映え合って華やいだとり合わせであったが、保育園児が竹棒登りで登りきっての自慢気な表情が連想された。あの大きな吸盤を試してみたのだろうか。
2010.6.4
クリンソウも見ごろ
びわ湖バレイではスキーコースのあちこちに水仙や百合などの園芸植物を植栽しておりますが、この季節は増殖したクリンソウが見ごろです。
2010.5.25
イワカガミ
びわ湖バレイでは登山路や林床のあちこちに可憐な花を咲かせます。日当たりのよい場所ではイワウチワに続いて5月の初め頃から見られます。
2010.5.25
チゴユリ
この花もイワカガミと同じ環境で良く見られます。目立たない清楚な花ですね。
2010.5.25
ドウダンツツジ
縦走路の石碑の前に植栽されていました。びわ湖バレイではツツジの仲間が19種確認されていますが、地味な花もありなかなか全部は見られません。
2010.5.13
シハイスミレ
図鑑にないので困っていたところFさんに教えてもらいました。シハイスミレは変異が多いのですが葉の裏が紫という特徴は他には無いのだそうです。
2010.5.13
ブナの変形樹
琵琶湖岸からは高差が1000mもあり、比叡山の所有林が多いことから奥山かと思っていましたが、薪炭林の里山で炭窯の跡もたくさん見つかっております。このブナは堅雪期に樹を高伐りし、雪面を滑らせて谷に落として炭を焼いていた名残の樹形かと思われます。
2010.5.13
鹿に食われたテンニンソウ群落
写真の中央から右側も左と同じテンニンソウ群落がありました。なぜ食わないのだろうと毎年不思議に思っていたところ食われ始めたのです。
面白いことに鹿除けネットから4mほどは食われておりません。 鹿除けネットが嫌いなのです。
2010.5.13
毒草バイケイソウ群落
山中や日向のあちこちにバイケイソウ群落が増えてきました。
2010.5.13
ウバユリ群落
なぜ鹿が食わないのだろうと思っていました。肉厚で柔らかそうな感じでしょう。アイヌも大量に食べていたという記載を記憶しています。
2010.5.13
鹿に食われたウバユリ
あまり好まれていなかったのか、鹿の食文化に入っていなかったのか、突然一斉に喰われてしまいました。
2010.5.4
トリカブト
トリカブトは中でも毒性が強く、バイケイソウと同じような環境に次々と株を増やしています。
2010.6.4
四本角の雄鹿
風下から近づいた私をいぶかしげに見つめています。つやの良い立派な雄鹿でした。
2010.6.4
袋角の雄鹿
夏の間単独で生活するといわれている雄鹿ですが、連れ立って芝生の新芽を食べていました。
2010.5.13
冬眠中のトカゲ
スキーコースの石の下で冬眠中でした。幼体は色が鮮やかですね。
2010.6.6
オオルリ
びわ湖バレイで見聞できる野鳥はそう多くはありません。5月から6月にかけての今年の見聞鳥リストを列記しておきます。
トビ、オオタカ、クマタカ、キジバト、ジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ、モズ、ミソサザイ、コルリ、マミジロ、クロツグミ、ウグイス、ヤブサメ、メボソムシクイ、センダイムシクイ、オオルリ、キビタキ、コサメビタキ、エナガ、シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル、カケス、ハシブトガラス、ソウシチョウ
2010.5.13
ブナハ アカゲタマ フシ
タマバエの一種によりブナの新葉に形成される虫えい(むしこぶ)なのだそうですが、
新葉が開き始めたときには既に虫えいの中の幼虫は3齢に達しているそうで、虫の生活誌は
まだまだ不明なところが多いとあります。それにしても何故あれまでに艶やかな姿をしているのでしょう。
2011.6.14
ウスバシロチョウ
一昨日、Yさんが28頭も見たというアサギマダラは、今日は1頭しか
出会えませんでした。しかし、ウスバシロチョウには快適な日和だった
らしく、数十頭もの乱舞が見られました。(2011年6月14日)
2011.6.14
ウスバシロチョウの卵
幸運にもウスバシロチョウの産卵を目撃しました。卵はこのまま
冬を越し、翌年の春、ムラサキケマンやエンゴサクなどの食草が芽を
出すころに孵化して成長し、蛹となって羽化するという生活誌
が知られています。ギフチョウと共に氷河期の生き残りとされていて
優雅に飛び回ります。(2011年6月14日)
森も植生も年々変わってゆき一年として同じ年はありません。そこで生活するすべての生き物が影響を受けて変わるのは当然として、
せめてその姿を記録に残したいと思います。