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アサギマダラの移動が分かるグラフ・2016年秋―(2017.06.21)
鹿児島昆虫同好会の長峰さんや福田さんの呼びかけに応えて、大阪市立自然史博物館の日浦勇さんが全国の仲間に呼びかけて会を結成され、
現在の“アサギマダラの会”へと発展してきたわけであるが、その間の30数年にわたるアサギマダラのマーキング調査により、膨大な移動データが蓄積されてきた。
その貴重な移動データは適切に統計・解析されてアサギマダラの生態解明に生かされて来たであろうか。残念ながらNOと言いたい。
アサギマダラのマーキング調査で分かる移動は、標識地と再捕獲地の点の記録であり、その両者を結ぶ線ではない。
また、その地をアサギマダラが通っていても、調査者がいなければ再捕獲される機会はないわけである。さらに加えるならば、再捕獲をしても
メイリングリスト(asagiおよびasaginet)などで報告をしない人や、移動情報を出さない人が増えてきており、統計・解析にも支障を来たす状態となっている。
そこで、非常手段ではあるが、移動報告の出されていない再捕獲についても、過去のデータから地域を推定して移動事例として算入して集計し、
グラフにしてみたところ、全国のアサギマダラの移動経路が何となく線として見えてきた。PDFにして収録したのでご覧いただき、
批判を仰ぎたい。
一方、アサギマダラの人気は上昇を続けており、特に南下の時期の秋に焦点を絞ってアサギマダラを呼び寄せるためのフジバカマ園を作り、
地方再生や観光客誘致の企画に取り入れる地域が増えているのは微笑ましい。
アサギマダラは、かっては昆虫少年やマニアのあこがれのチョウであった。源氏物語千年紀(平成20年、京都市)を期にフジバカマの栽培が全国的に盛んになり、
アサギマダラがフジバカマの花に誘引されて市民の目の前にも現れるようになって、その美しさ、優美さが広く知られるようになった。
今ではいろいろな分野の人が様々な形でアサギマダラに関わるようになり、アサギマダラを巡る文化も多様化してきている。だから、
狩猟本能やゲーム欲などを満たすためにマーキングを続けている人がいても責める気にはなれないが、マーキング調査に参加して仲間と連携し、
アサギマダラを追う事の楽しさ、奥深さを知ってもらいたいと思う。