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  Whistler & Blackcomb(2008)



カナダへの憧れ  

2008 03 05
「黒い牙」は、この山域のシンボルです。

海外スキーではカナダに憧れておりました。同じリフトには二度と乗らずに、新雪から新雪へと一週間も滑り続けられると聞いて、それいらいの憧れでした。 参考資料も沢山集めました。しかし、肝心の仲間とガイドが見つからないままに60歳を迎えて「今生では縁がなかった・・・」と諦めておりましたところ、 70歳を迎えたある日、一緒に滑ったFさんが、「カナダに行きませんか・・・」と誘ってくれました。思いもかけないお誘いに喜んでは見たものの、 70歳を過ぎた今では無理だろうという思いはありましたが、その日から準備が始まったのです。

カナダ・Whistler & Blackcomb スキー場

Whistler & Blackcombでは2010年に冬季オリンピックの開催が決まっています。Whistlerスキー場が開発期にあった頃、FさんはWhistlerに住みつき、多くの仲間と共にスキー場の発展に貢献されました。青年期までの情熱とパワーの総てをつぎ込んだ多くの仲間たちは、今は主要ポストにあってWhistler & Blackcombを北米一番のスキー場に仕上げたのです。

2008 03 05 山小屋でやっと一息

平均年齢67歳のスキーが好きな老人たちばかりの8名は、Fさんのセッティングで約10時間飛んでバンクーバー空港に着き、2台のレンタカーに分乗して山小屋のあるWhistler Villageに着きました。(写真:岩崎)

2008 03 05 Whistler Mountain の山頂です。

人をかたどったタワーは、2010年の冬季オリンピックのために造られたシンボルマークになっています。右の端のリアンはFさんの親しい友人で、「私がガイド・・・」と叫んで私たちに絶対服従を誓わせ、危ないところも含めて山のすみから隅までハードに案内してくれました。

2008 03 05 七人の美人たち

Whistlerにスキー学校が出来た頃の第一期のインストラクターたちです。同期のFさんは女性にも人気があったようですね。明るく賑やかに歓迎してくれました。平均で60歳を越えるというのに、止まらず休まずガンガン滑り、お昼には豪快にジョッキで乾杯もします。近隣に住み、週に4日ほど滑りに来るそうです。3日間一緒に滑ってくれました。

2008 03 05 美人たちとの記念撮影

日本では何キロも止まらずに滑るなどということは余りありませんが、Whistler では当たり前のようです。標高差は1500m、約100本のコースを組み合わせて最長8マイル(12.8km)もの長い長いダウンヒルもあります。ついて行けないで、途中で勝手に休憩するものもおりましたが、彼女たちは優しく待っていてくれました。

2008 03 07 Blackcomb氷河

3日目はBlackcombスキー場へやってきました。Whistlerスキー場からは、深い谷を隔てて北西側になりますが、この夏には両山を結ぶゴンドラが完成するそうです。 Blackcomb氷河は頂上のすぐ裏の足場の悪いところからスタートしますが、出だしは急傾斜ですが間もなく緊張も解けて周りの絶景も目に入るようになりました。

2008 03 07 Blackcomb氷河を滑り終えて

ここでも先に到着したのは女性たちばかりでした。私は用心してトラバースしてから氷河に滑り込みましたが、彼女たちはみな、ボウルの縁から底に向かって突っ込んでゆきました。ガイドのリアンは言いました。「今日はアン(婦長さん)が来ているから大丈夫よ!」

2008 03 09 ほんのちょっぴり新雪が降った

4日目の雨が山上では雪になって、5日目の今日は吹き溜まりを選んで新雪に乗りました。みんなご機嫌です。

2008 03 05 全域スキー可

天候さえ良ければヘリコプター・ツアーが楽しめます。ワン・フライト8万円と高すぎて、私には文字通り「高値のハナ」でしたが、冥土の土産に飛んでみたかったです。(写真:岩崎)

2008 03 05

アームチェア(肘掛け椅子)と呼ばれる氷河のカールです。(写真:岩崎)

2008 03 05

Whistler も Blackcombも全山ゲレンデで、リフトの下も森の中もどこを滑ってもOKなのです。ただし、立ち入り禁止の場所には絶対に入ってはなりません。戻れなくなるとか怪我をするとかの命に関わる危険がある場所のみ立入禁止にしているのです。リフトの上から見物していると歓声が上ります。20m以上もある岩の上から飛び降りるスキーヤーやスノーボーダーが絶えません。Fさんは17mは飛んだことがあると言っていました。

2008 03 05

岩の崖の裾から下へミミズが這ったようにびっしりとシュプールがついています。飛び降りたのです。背中やお尻で滑った跡ではありません。ちゃんと回転しながら滑ったのが分かります。

2008 03 09

テーバー・リフトもあります。このボウルは雪が降ると吹き溜まりになるのだそうです。傾斜もゆるいので初・中級者が新雪を滑るのに良いゲレンデです。

2008 03 09

リフトが森の中をあがっているとき「ヒャッホウ!」「ヒャッホウ!」と子供の声が聞こえてきました。先生に連れられた子供たちが数人、樹の間を縫ってジャンプしながら滑ってゆくではありませんか。信じられない気持ちで呆然と見送りましたが、やがて非常に羨ましいという気持ちに変わってゆくのが分かりました。
日本では考えられない話ですが、カナダの少年たちは幸せだと思います。本当に子供らしく遊べるからです。日本の安全管理下の教育が、日本の少年たちを駄目にしているのではないでしょうか。
Fさんは子供が好きです。リフトの上で少年からどんな話を聞いたのでしょう。

2008 03 07

Blackcombを案内していただいた日の夕方、リアンが自宅に招待してくれました。
去年の夏から馬を飼いはじめたそうで、乗馬が2頭おりました。夏にはキャンプサイトをつないで一週間も馬で旅をするのだそうです。Fさんは馬に乗ってもカッコウが決まっています。カーボーイハットにロデオを佩いて颯爽としているではありませんか。
家の裏は遥か向こうの山裾まで全部自分の牧場だそうで、裏庭には大きな野天風呂が備え付けられておりました。日本では覗き見される心配をするところですが、そんなことは全く気にしていないようでした。
日が落ちて車に乗る前、裏庭の向こうの白い峰々と一番星を眺めていたら、リアンが「あそこには神が棲んでいるの」と話してくれました。そんな神秘的な良い夕暮れでした。

今度生まれ替わった時には是非カナダに住みたいと思っています。神様よろしくお願いします。

Fさんにも本当に感謝しています。有難うございました。